2012年08月09日

闇をさまよう者

闇をさまよう者
そろそろお盆の季節ですね。夏の季節と言えば怪談。

私が子供の頃は、心霊ものの番組などたくさんTVでやっていましたけれど、最近は、寒い真冬の季節であっても番組があったりして、何か近頃は、季節感がなくなってきたような気が致します。
まだまだ暑い季節が続くようで、ここで少し不思議な体験談を。


今から、もう20年ほど前。数人の仲間と一緒に、福岡市にあるS池でのライギョ釣りを終え、友人A宅で一杯やっていた時のこと。一日の釣果をあれこれ話しながら、たのしいひとときを過ごしていました。

闇をさまよう者
福岡市南区に住む友人Aの家は、二階建てのコーポの2階に位置しており、古い木造の造りのせいか、普段から隣りや真下に住む生活音が普通に聞こえてきます。

この日は、真下の部屋にも、私たちのような若者が何人か遊びに来ていて、遅い時間までガヤガヤと男女の笑い声が聞こえていました。


まぁ、その時はあまり気にもせず、こちらも話しに夢中になっていたのですが、そのうち、どうも真下の若者たちの様子が少し妙な具合に…。


時折、泣き叫ぶような男の声が聞こえてくる。それに合わせて、男女の叫び声。


『 だいじょうぶか! 』


『 しっかりしろ! 』


『 しっかりしろ! 』


時折、バシバシと手のひらで体を叩く音なんかも聞こえてくる。
お酒を飲んで、酔った勢いで喧嘩をしているような雰囲気。


『なんか騒々しいなぁ 』 なんて、

友人たちと話していたら、しばらくすると、遠くから救急車の音が、こちらの方へ近付いてきます。


うん!?

闇をさまよう者
サイレンの音は、いよいよ家の傍まで…。

あれ!?   


救急車がこの建物の前で止まった。赤いランプ色が怪しげに辺りを照らしている。
カーテンの隙間から下を覗きこむと、若者たちが、表に出て救急隊と何やら話しています。


どうせ、急性アルコール中毒なんかで、仲間の者の具合が悪くなって救急車を呼んだのだろう。まったく人騒がせな奴らやなぁ。なんて、友達と話しをして、その日は何事もなく終わったのでしたが…。


それから、数日後、釣り仲間とはまったく別の友達であるO氏と遊ぶ機会があった時に、偶然にも奇妙な話しを聞かされた。


O氏には、妹がいるのだが、その妹が、遊び友達から、家で鍋をするからと誘われて行った時の話しだった。
その友達の家に、男女7人が集まって、鍋パーティーをしていた。
しばらくは、会話も盛り上がって楽しいひとときを過ごしていたらしいのだが、そのうち一人の男の子が、すすり泣き出し



『どうして…』



『誰も…』



『どうして…』




『誰も…』




突如、うつろな表情を浮かべ、何度も同じ言葉を繰り返すという。そのうち、最初のすすり泣きから、だんだんエスカレートし、



『どうして、誰も気づいてくれないんだ! 』



『ここにいるんだよ! 』




今度は、大声で泣きわめきはじめたというのだ。



『だいじょうか! 』

『おい、しっかりしろ! 』 

『おい、しっかりしろ! 』



暴れる彼を皆で必死で取り押さえ、正気を取り戻すように頬を叩きながら、介抱を続けていたのだが、激しい暴れように皆、手に負えず、救急車を呼び病院へ搬送したというのだ。この日、お酒はなかったという。



あれっ! その話し、どうもこの間の状況とよく似ている…



ひょっとして、その話しの家って、◆◆◆町にある屋根がオレンジ色で2階建てのアパートことじゃない?って聞いたら、


『えっ! なんであのアパートのこと知ってるの?』 って。


彼は、妹を迎えに行った際に、建物を見ていたらしい。その建物の特長を話すとピタリと内容が符号していた。


正直、驚きました。

その友人の妹が話していた場所は、実は私たちが聞いていた真下の部屋の話し。
つまりあの日の出来事だった。釣り仲間とはまったく関係のないO氏から、下の部屋であった出来事の真相を聞かされるとは思いもよらなかった…。


その妹の友達は、病院へ搬送され、しばらくして正気を取り戻したらしいが、その時、自分が叫んでいた内容のことなどの記憶はやはりまったくないとのことだった。脳検査の結果、異常は見られなかったとのこと。過去に精神疾患を患っていた病歴もまったくない。


ただ『ずっとここにいたのに、誰も自分のことに気付いてくれない』って何度も叫んでいたから、考えたくないけど、ひょっとしたら、浮かばれていない霊に取り憑かれたんじゃないかって妹や仲間が話していたとO氏は言う。



ずっとここにいたその場所って、何処だろうね? やっぱりあのアパートのことなのかな? 



どうもこの話し、まったく別の友人を介して繋がっているので、偶然にしては、やはりとても気になる。



すると、その話しの先には、驚愕の事実が!



 『S池って言ってたよ』


えっ!  一瞬、耳を疑った。






何だって!


S池だって!!



あのアパートじゃなかったのか!


そのわめきちらしていた彼の口から出た言葉の中に、それは、あの日、我々が釣りをしていた池と同じ名前が出ていたというではないか!

S池…。

もし、そうであるならば、あの日、S池から、連れ帰ってきたのは池で亡くなった人…。
ひょっとして、我々のだれかに憑いて…。


闇をさまよう者

後日、その池に関することを、池の近くに住む中学の同級生に尋ねてみた。


「ああ、あったよ」


自殺か事故かわからないけど、あそこで水死体が上がっているよ。


やはり数年前にS池で実際におきていた。



その後、その池は、水難事故が相次ぎ、フェンスで四方を囲まれ出入りが出来なくなっているとのこと。


後に、友人もあのアパートをすぐに引越ししたが、これといって変わったことはなかったと言う。


供養してもらいたくて、自分の存在に気づいてくれる人を探していたとでも言うのだろうか。


20年以上も昔の話しで、真相は、今でも分からない。


ただ、あれから、もう二度とあの池を訪れることはない。








*使用している写真は全く関係はありません




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Posted by mpfyh669 at 10:43│Comments(0)奇妙な話し
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